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矯正の失敗 矯正のやり直し 矯正する歯科医院の選び方 能代市 北秋田市 大館市

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矯正終わったけど見て欲しい」と患者が来院しました。

「他院で矯正終わったのだけど、なんか変です。診て欲しい」、と来院された患者さんです。上は当院での初診時の写真です。他院で5年かけて矯正したそうです。
妹さんもそこで矯正したそうです。妹さんは能代から離れて生活しており、ある歯科医院で見て貰ったところヘタクソと言われた。と自分が施術された矯正を心配していました。
2つ目の写真は治療途中の写真です。上顎犬歯を単独で遠心移動しているところです。当初3~3で一塊で遠心移動を試みましましたが、これがなかなか動かないので犬歯の単独移動に切り替えました。この後2~2を遠心移動させます。

患者さんは前医に矯正開始時の資料提出を求めました。

元がどのような状態か知りたいので患者さんに矯正前の模型か写真をもっているか訊いたところ、患者さんは写真を持っていました。その写真は前医院から治療終了時に渡されたものです。矯正を始める直前に撮ったものですが、正面の写真だけ渡されました。
話を伺うと、そこでは横顔の写真を撮らないのです。(恐ろしいところです)口腔内写真は正面と咬合面しかとらないし、顔面の写真は正面しかとらないのです。これだけでもものすごく詐欺的で犯罪的なのですが、更に疑いを確信に近づけることがありました。患者が前医に治療開始前の模型の提出を求めたところ、治療の途中の模型を渡してきました。自分でやったことに不利な証拠は残さない方針のようです。

IPR、ストリッピングの注意点。

皆さん、一番目の写真はどこが変かわかりますよね。出っ歯ですよね。前歯が出ています。出っ歯が目を引きますが、よく見ると奥歯がうまく噛んでいないのが分かります。
この患者さんは下顎切歯が3本しかない症例です。下のデンタルX線写真をご覧ください。上顎前歯をIPRしてあるのが分かります。IPRとはエナメル質を削るのですが、これが物凄く削り過ぎで、上顎切歯は近遠心のエナメル質が殆ど無くなっていました。特に上顎両側中切歯は象牙質が広く露出しているのです。これでは虫歯が象牙質へ達するリスクが高いので、対処としてグラデイア(レジン)を近遠心に盛り足してエナメル質の代わりとしました。下顎は切歯を1本抜歯して下顎の犬歯を下顎側切歯と見立てて矯正し直しています。(注:象牙質はエナメル質の2~3倍酸に弱いので虫歯が象牙質まで進行すればそこから虫歯の進行速度は急激に早くなりかねない)
グラデイアを盛り足すことでtooth size ratioも合わせることができました。


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非抜歯拡大矯正の犠牲者でした。
この患者さんは下顎3本切歯の症例で上顎前突でした。前医では非抜歯拡大されて、toothsizeratioを合せようと上顎前歯をIPRしたのですが、実際は合っていないから出っ歯で終わったのでした。上顎はかなり拡大されて口蓋の右側前方に凹みができていました。上顎左右側中切歯は削って形が変でした。角張って、四角くなっていました。

当院での再治療
当院では下顎3切歯だったので切歯を一本抜歯して2切歯とし、その上で下顎左右犬歯を側切歯に見立て、下顎第一小臼歯を犬歯としました。上顎は左右第一小臼歯を抜歯しました。その上でマルチブラケット法による歯列矯正の再治療を行いました。治療途中で、上顎前歯にグラデイアを用いて歯冠の幅径を増やしました。下顎左右中切歯、犬歯、第一小臼歯はIPRを併用し、toothsizeratioを平均値±SDに収めました。この場合のIPRは幸いなことにエナメル質が厚い歯なので余裕をもって行えました。
セカンドオピニオンを求められる機会が増えました。かつて何度か取り挙げていますが、本当に注意してください。以下に注意点をまとめました。

矯正する場合の医院選び

矯正する場合、よしておいた方が良い歯科医院の基準として以下の5点を挙げれます。

1、横顔のレントゲン(頭部X線規格写真)(セファログラム)を撮影しないところはNG
 横顔のレントゲン写真はとても大切で治療の進行を確認するためにも必要です。治療途中に何度か撮影するのが普通です。
2、横顔の写真を撮らない医院はNG
 横顔が美しくならないのは矯正ではありません。
3、右側面、左側面の口腔内写真を撮らない医院はNG
 治療前後で比較しますから、正面と咬合面の口腔内写真しかとらない医院は証拠を残さないつもりです。
4、非抜歯拡大は要注意
 非抜歯拡大はディスクレパンシーが-3mm以内の場合だけ可能です。非抜歯で並ぶ患者さんの割合は大変低くなります。地方では5%未満です。
5、子供の矯正が異様に多いところは要注意です。言い換えると、大人の歯列矯正をやらないというのは変です。

当院では以下の様に考えています。
当院のIPRに関しての見解を以下に述べます。教科書的には
エナメル質の半分をIPRするなら問題ないと言われていますが、根拠のない話です。白人の厚いエナメル質なら問題ないでしょうが日本人ではエナメル質が薄い人が多いので、薄い人にはIPRはやらない方がよいと考えます。薄いエナメル質を更に薄くする行為は齲蝕に対しての抵抗性を著しく損なう行為になります。日本人は長生きしますから、歯を可能な限り残すことに繋がらないといけません。日本人でもエナメル質がそこそこ厚い方がいます。その方の場合IPR可能ですが、勿論デンタルX線写真で計測しながら行います。

エナメル質が薄い患者のディスクレパンシーが―3㎜~-5㎜ぐらいならslow extractionを行った方が良いと考えます。

あとがき
色々な歯科医がいます。患者さんは自分がされていることが分からない場合があります。ですから後悔しないためには矯正治療開始前に歯科医へ色々質問するのが良いと思います。質問されて嫌がったり、面倒がる歯科医でしたら止めたといた方が無難です。ところが、自信満々におかしなことする歯科医もいるのです。そいつに当たったら患者さんは見抜けるでしょうか?患者さんも矯正に関して勉強が必要です。

インチキ矯正のお話しは下にリンクを張ってあります。

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