ビスフォスフォネート製剤 BP製剤 インプラント BRONJ 骨粗鬆症 能代市 北秋田市 秋田市 大館市
ビスフォスフォネート製剤(BP)を服用されている方が、その方の御友人に紹介され当院へ来院されました。その方はインプラントを希望していました。10年前にかかりつけの歯医者に「インプラントできないか?」と訊いたら、骨がないからできないと言われてあきらめていたそうです。お口の中を拝見し、パノラマX線写真で確認したところ、全く問題なくインプラント可能でした。その患者さんインプラントやったことない歯科医にインプラント可能かどうか尋ねたそうです。誤った情報を仕入れてそれを10年間信じていたことになります。私の仕事は、決断を迫られる場合が多く、調べて、考えて、決断するサイクルを繰り返しています。ですから、今回の患者さんが当院へインプラントの相談へ来るまでの一連の経緯は他人事ながら自分の事の様に受け止めてしまいます。情報を得るには正しい情報が得られる相手から入手しないといけないという教訓に思えるのです。
患者さんの口の中には左下4、8支台歯のブリッジが装着してありましたが、8が歯根破折で8のクラウンとコアが除去されて、8は残根のまま残されてありました。つまり4支台歯5,6,7ポンティックの延長ブリッジが装着されたままだったのです。8は残根のまま少し腫れていました。初診でいらして、その場で左下8番は保存不可能なので抜歯しました。口腔衛生状態は大変良好な方なのでBP飲んでいても問題なしと判断しました。で、そのあとの経過は良好です。前医はBP服用しているのでBRONJを心配していたのでしょう。抜歯しませんでした。この判断が不思議で、残根で腫れていたら、それがBRONJを発症する危険性を高めていることになると思うのですがいかがでしょうか?
最新のBRONJに関する情報をネットで入手しました。『骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016』という公文書です。
それを読むと、ONJ国際タスクフォースの見解では骨粗しょう症患者でBP治療患者では経口、静注を問わず窒素含有BP治療を受けている骨粗しょう症患者におけるONJ発生率は0.001~0.01%です。一般人口集団に見られるONJ発生頻度0.001%とほぼ同程度か、ごくわずかに高いと空いてされています。
米国FDA,AAOMS、およびその他のいくつかのグループでは骨粗しょう症患者でBP治療が4年以上続いている患者はBRONJ発生率が上昇するとデータを示しています。しかしAAOMSはBP治療を4年以上続けている患者に、あるいはONJリスク因子を有する骨粗しょう症患者に侵襲的歯科治療を行う場合は骨折を含めた全身状態が許容すれば2か月前後のbp製剤の休薬を主治医と協議検討することを提唱しています。日本口腔外科学会、その他の多団体がこの提唱を支持しています。
BP製剤を服用しているその患者さんは、口腔内衛生状態が極めて良好です。更にCT撮影により骨の形態、骨密度を確認しインプラント可能であると確認できました。患者さんのかかりつけの内科医にBPの休薬を相談したところ術前後の各2か月休薬することになりました。
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