虫歯の診断 隣接面カリエス チョーク状虫歯 能代市 北秋田市
このブログもどうしても記事がインプラント、矯正、が多くなってしまいます。記事が書きやすいからそちらが多くなりますが、実際のところ虫歯の治療、予防も真面目にやっています。
少し前の話になりますがある患者さんが当院を受診しました。その方は関東のあるところで働いていいました。出身の能代に20数年で戻ってこられた方です。戻って、どの歯医者へ行ったらよいか決められず、職場の方に尋ねて勧められた秋田市の某歯科医院へ通ったのですが遠すぎて通えないということで、当院を受診しました。当院でインプラント治療を受けたある方の紹介でした。
秋田市の歯医者に虫歯があと3本あり治療しないといけないと言われているから、治療したいということでした。
患者は奥歯に虫歯があると言われているとのことでしたが、お口の中を見ると虫歯がありません。
溝に着色が黒くありますが明らかに虫歯ではありません。
私:『これ虫歯じゃないよ。溝が黒くなっているけどこれは着色ですよ』
患者:『やっぱり』
『こっち来る前に2か月毎に通っていた歯医者から虫歯無いと言われていた。だいたい、俺一日4回歯を磨くから』
私:『秋田の先生は、虫歯の診断を知らなかったかな?』
虫歯の診断はデンタルX線写真、と肉眼で診断します。肉眼で小窩裂溝、隣接面にエナメル質の透過度が増していたら要注意です。虫歯かもしれません。更にデンタルX線写真を撮って確認します。
齲蝕の進行度によって、
C1,C2,C3,C4という分類がありますがこれはどちらかというと保険用語での分類になります。
c1エナメル質齲蝕,C2象牙質齲蝕,C3歯髄に達した齲蝕、C4残根状態
これとは別にエナメル質の進行度合いで分類する方法があります。エナメル質齲蝕を図のようにD1,D2,D3と分類します。
D1はエナメル質限局の齲蝕,
D2はエナメル質象牙質境に差し掛かるか少し超えたもの
D3は齲蝕が象牙質に明らかに進行したもの。
c1~C4の分類だとD2,D3がC2に含まれます。C1~C4の分類は保険診療での分類で保険診療で虫歯治療する場合の分類になります。保険診療は修復中心の診療です。修復中心の考えで齲蝕を分類するとC1~C4の分類が都合よくなります。
ですが予防中心、なるべく削らない治療となるとD1~D3の分類が必要になります。
D1~D3の分類は象牙質に入る深さでの分類になりますので齲蝕予防を実施する際に有効な分類となります。
予防歯科では齲窩(穴)の無いD1は治療しません。エナメル質に限局し穴が開いていないなら進行を抑制することが可能です。ごく初期のD1で歯質の欠損がなく表面が脱灰しただけの物白くチョーク状の虫歯ならば歯磨剤のフッ素で元に戻る場合があります。
虫歯は全て穴(齲窩)が開いていると思っている方がいますが、実際は違います。表層化脱灰層という穴の開いていない齲蝕があります。エナメル質の表面が唾液中の無機イオンにより再石灰化されてその下に齲蝕が広がっている状態があります。例えるならスポンジにマニキュアを塗ってあるようなものです。
D2も齲窩がなければすぐには治療をせず経過を観ます。象牙質に齲蝕が到達しても、歯磨剤のフッ素により進行を抑制することが可能な場合があります。D2の状態で10年以上も進行を抑制している方が当院にも沢山います。これを書いている私も右下5番をd2で15年以上進行を抑制に成功しています。
D3は治療が必用となります。
参考文献 トータルカリオロジー ベンクト・オロフ・ハンソン/ダン・エリクソン著 オーラルケア出版
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