ヘッドギア バイオネーター チンキャップ
以前は10歳前から下顎前突の子供にチンキャップを使っていました。でもこれが曲者で、使ってくれると本当に良い結果が出るのですが、さぼる子供がいます。さぼっているのが明らかなのに本人が使っていると言い張るのです。使っている子供と使っていないこどもで差が出るからわかるのです。
患者がチンキャップ使わないで途中から抜歯になれば患者の親は不信感を抱きます。抜歯になる可能性があると話して治療を開始しても、親は覚えていないのです。キレイに忘れているのです。
従って、この経験から、私は子供の矯正は12歳前後、永久歯列完成のあたりにヘッドギア無しで矯正することが患者、親、医院とが良好な人間関係を続けていくための必用条件としています。
混合歯列期後期に治療にバイオネーターを使うのもチンキャップと同様にとらえています。機能的装置は患者が使ってくれない場合があり得る、更に使ったからと言って期待できるほどの効果があるか?と、いった問題があります。
遺伝的にretrognaticな症例を果たして機能的装置で下顎の成長を促進できるか?出来た場合どれほど出来るか?あまりに未知数であります。私は遺伝的に,retorognaticな子供の場合下顎が前進しなかった例をいくつも経験しています。
ある大学教授と話した時に、「バイオネーターはずいぶんやったけど、ずいぶん裏切られた。」このような発言を聞いたことがあります。これはつまりバイオネーターで下顎を前進させた症例は、実際あるのですが、前進しなかった症例、期待ほど前進しなかった症例もあるということです。
歯科医師の方は考えてみてください。上手く行かなかった症例を出版物で見ることがあるか???
歯科医は上手く行った症例を発表するのです。上手く行かない例は表に出てこないのです。ですから我々歯科医は自分がやっても治療結果は良好と思ってしまいます。ここに臨床の落とし穴があります。
プロフィトの著書『現代歯科矯正学』にヘッドギアを指示通り使ってくれないのは2~3割存在する。と書いてありました。ヘッドギアを使用した場合、治療結果が思わしくない歯列矯正の患者が、2~3割存在すると考えてよいと思います。臨床ではこの2~3割を無くすことが重要です。
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