歯列矯正開始時期、子供の矯正は何歳で開始か?9歳で歯列矯正開始?
またしても来院しました。ある母親から子供の矯正の開始時期に関しての意見を求められました。
相談に来られたのは、9歳の娘がいるお母さんです。電話で予約を取る際に次のように言っていました。
ある歯科医院へ娘の歯並びの相談をしたところ、『すぐに矯正が必要だ、拡大してワイヤー張らないと大変なことになる』と言われたので診て欲しい。
母親の希望は午後5時以降なので、予約帳を調べて、10日後の予約になると告げました。すると、前医で7日後資料をとることになっているのでその前に診て欲しいといわれました。そこで予約で埋まった夕方でも比較的診療内容が薄い日を選び、窮屈ながらも4日後の予約を夕方診療終了時間間際に取りました。
来院時口腔内写真を撮りました。撮った写真が下です。
たとえ、上の写真の様であっても、12歳まで待ちます。9歳で上のような歯は全ての歯が生え揃うと確実に激しいデコボコで非抜歯では並びません。矯正する際は抜歯が必要になります。
これを今(9歳)から矯正した場合と、12歳で開始するのでは結果に差がありません。これは矯正の常識です。
更に、大切な2点を以下に挙げます
1,今から開始すると、治療期間がとても長くなります。12歳から開始しておよそ2年で終了する矯正を9歳から開始すると6年も要します。9歳からの6年は大人が感じる時間と違いとても長く感じます。娘さんは飽きてしまいます。通院に連れていく親も飽きます。
2,更に、9歳から開始すると子供は親の言うとおりにするでしょうが、11歳あたりから反抗期に入る場合があります。その場合歯を磨かなくなり、歯茎が腫れる、齲蝕が多発といった事態になりかねません。そうなれば治療の遅延、多数の齲蝕処置歯の存在で審美的に望ましくない結果を受け入れざるを得ません。最悪治療の断念といった事態も想定されます。
よって、
12歳頃、永久歯が生えそろう頃に矯正をやるかどうか本人に聞いてやると言ったらやればよいのです。拒否したらやらなければ良いのです。18歳を過ぎて矯正をしたいと言ったら自分のお金でやらせればよいのです。訊いたことで親の責任は果たしています。
ですが、小さいころから子供の歯並びについて何も触れず、12歳頃に唐突に『歯列矯正するか?』と子供に訊くのは親として少し無責任ではないかと思う方もいると思います。私も、そう思います。
そこで次の様にしてみては如何でしょうか?
12歳で子供が歯列矯正を心よく受け入れる為には
子供が12歳頃快く歯列矯正を受け入れる為には、準備期間がが必要だと考えます。テレビに出ているアイドルを例に出し、子供に「将来奇麗なお姉さんになるには歯並びを治さないといけないよ。」「イケメンになるにはきれいな歯並び必要だよ」等、10歳前あたりか、もっと以前から話しかけることで、子供の脳に刷り込ませ手は如何でしょうか?親の影響は大きいものです。効果が期待できると思います。
上記のような準備期間を設けたのに12歳で歯列矯正を拒否した子供がいたとします。その子供が、18歳過ぎて矯正したいと言い出したら、次のように言うのが良いでしょう。
『12歳頃やるかどうか聞いて拒否したのはあなただからね、自分のお金でやりなさい。』
中学生の頃、親の勧める歯列矯正を拒否した人の話
以下の話は複数の患者さんからの聞き取り調査の結果に基づいて書いてあります。
中学生の頃、親に矯正やるかと訊かれて、矯正装置が装着された時の見た目の悪さを理由に拒否したのに、20歳を過ぎて自分の見た目の悪さが致命的であると気付いて開始する人は沢山います(これ本当です)。凡そ10歳代は世の中が見えないものです。
20歳を過ぎてどこかで自分の歯並びの悪さで、大いに損をしていると気付いた人は矯正を始めます。
伝統的な日本の文化に察しと思いやりで相手に気遣うといものがあります。相手に不快な思いをさせてはいけない、面と向かって欠点を指摘しては相手に失礼である。と忖度する人が沢山います。
例えば合コンに参加した若い女性が酷い歯並びの場合、男性は相手の酷い出っ歯、ガチャガチャを指摘するか?しませんよね。アメリカ人なら『なんで歯並び治さないの?』って訊きますけど日本人はしません。
陰で『うわ!酷い出っ歯』と囁きます。そこが大切なところで、よほど親しい人でもない限り酷い歯を指摘してくれません。ですから察しと思いやりを持って相手が接してきたら,こちらは気づきをもって迎えないと成立しないのが日本の文化です。日本に生きているからには気づきが必要です。歯並びの話題に限らず多くのことに10歳代に気付かず、辛い思いをして20歳代に気付く方も沢山います。
12歳より前に歯列矯正を始めた場合
矯正専門医なら皆さん12歳から開始ですと言います。矯正専門でない歯科医院の中には早く開始しないと大変なことになるというところもあります。
矯正専門医に9歳前後の子供の歯並びを相談したところ、12歳開始と言われても、やはり親としては心配で早く治してくれるところはないかと探す親は沢山います。
そんな親はすぐに始めるところが見つかると『よかった。ここだとやってくれる』と思うのです。で、開始すると、最初の内は素直で親の言うことに従います。ところが、反抗期に入って、結構な割合で中断があります。または何とか終了まで行けても、リテーナーを使ってくれずに再発となる場合があります。何とか終了にたどり着いても、治療中に歯磨きを怠り虫歯だらけ、で前歯に大きく詰めた痕があったりします。
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