矯正症例103舌側矯正 上下顎前突、裏側矯正、能代市、北秋田市、大館市、秋田市
初診時28歳8か月、性別:女性、抜歯部位:上下顎左右4番、治療期間:3年8か月、治療費総額:158万(税込み)
この症例写真を見て、舌側矯正は表の矯正と比較して仕上がりに遜色ないことが分かります。舌側矯正は表の矯正と比較すると、期間が遅いとか、仕上がりが劣るとかいう方がいますが、そんなことはありません。ほぼ同じです。
とは言っても、この患者さんに於いては28歳開始で3年8か月の期間を費やしました。年齢の割には治療期間が長いです。が、それは矯正治療を途中でやり直したからです。やり直しになった原因は舌癖です。舌癖が無ければ3年以内に終了していました。
想定外の結果
治療開始後、1年8か月で抜歯空隙が閉じました。ところが、犬歯がⅡ級の咬合で抜歯空隙が閉じました。閉じた時点で上顎前歯のトルク不足(前傾が不足)となりオーバージェットが3㎜になり上下の前歯が噛んでいませんでした。これは当初設定した治療目標から大きく外れています。修正が必要です。
やり直しの矯正
上顎前歯のトルク不足を修正するために再セットアップし更なるオーバーコレクションを加えたコア付きブラケットを制作し、それに交換しています。その上で上顎左右大臼歯を遠心移動し、トルクをかけて牽引しました。
下の写真は犬歯の2級と上顎前歯のトルク不足を修正する経過です。犬歯の後ろに空隙が生じ、その後空隙が閉じ上顎前歯の傾きが変化しているのが判ります。
上の写真は、一見奇麗に並んでいますがかみ合わせに問題があります。前歯が噛んでいません。前歯の前傾が不足しています。犬歯が2級の咬合です。
上の写真は上顎大臼歯を遠心移動しているところです、大臼歯を遠心移動すると小臼歯も一緒に移動しました。この後上顎前歯にトルクを加えながら牽引します。
上の写真は抜歯空隙が閉じたところです。上顎前歯のトルク(前傾)がまだ不足しています。この後トルクを加えます。
上の写真は動的治療終了時の写真です。上顎前歯にトルクが加えらられたの、一つ前の写真と比較すると分かります。
抜歯空隙が閉じた時の右側面です。左側面と同じく、上顎前歯のトルクが不足しているのが判ります。
上の写真は上顎大臼歯を遠心移動終えた時の写真です。
上の写真では、上下の犬歯関係は良いのですが上顎前歯が下がっています。下の写真では前歯の下がりとトルクを改善しています。
終わりに
この症例を治療している過程で初期に舌癖(舌突出癖)に気づき、抜歯空隙の閉鎖が遅いことは予想していました。実際のところ予想通り1年8か月の比較的長期間で抜歯空隙が閉じました。が、治療の途中で舌癖を治すために,MFT(筋機能療法)を併用しています。バイトが浅く、叢生もほとんどないことから舌癖が無ければ1年8か月も費やさずに抜歯空隙の閉鎖が完了したはずです。トータルで3年8か月の歳月が必要となりましたが、それは舌癖が原因でやり直しの矯正が必要となったからです。本来なら上下顎前突の簡単な症例ですが、舌癖の存在が治療を困難なものとし、治療期間の長期化を助長しました。注意
先日もわざわざ遠くから当院へ矯正の相談でいらした患者さんの話を伺ったのですが、その方かつて2回矯正をしています。しかも2度です。一度目は終わった痕前歯が出てきたので2度目の矯正をして、矯正終了後数か月で前歯が出てきたので、2度目の矯正をしたところへ相談したら『あなたの歯並びは其れで良い。』と言われたそうです。
その方はかなりひどい舌癖がありました。舌癖に対する対応をせずに終わる矯正専門医院が存在します。皆さん気をつけて下さいね。
歯列矯正には以下のリスクを伴う場合があります。
1最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
- 2歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 3装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 4治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 5歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。ブラックトライアングルの出現があり得ます。
- 6ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- 7ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 8治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 9治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 10様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 11歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 12矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 13装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 14装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 15装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- 16あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 17治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 18矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
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