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混合歯列期の矯正治療 ヘッドギア 能代市 歯列矯正 北秋田市 大館市

ヘッドギアの使い方を復習しました


連休の間にプロフィトの現代歯科矯正学を読みました。日本語版が2004年出版のものですから、英語版は古いものです。20年近く前のものです。


その本は厚いので『ヘッドギア』、『青年期の矯正の仕上げ』の 2部だけを読みました。ヘッドギアは多くのページに渡って書いてあり、この装置がいかに歯列矯正に於いて重要なものであるかわかります。


ヘッドギアは力のベクトルを上顎骨の抵抗中心をとおるようにすると上顎骨の成長を抑制することができます。上顎骨の過成長を予防することが可能ですから、成長期における上顎前突の治療には有効なものとされています。しかし、ブラケットとワイヤーを装着し6番のチューブにフェイスボウを装着する、又はバイオネーター、バイトブロックにチューブを組み込んだものにフェイスボウを装着してヘッドギアで上顎骨の成長を抑制するこの方法は6番が遠心に傾斜するか、6番が遠心へ歯体移動するかします。その結果、ほとんどが7番の異所萌出か、萌出困難となります。結局、7番の抜歯か小臼歯の抜歯が必要となります。


 ヘッドギアで成長を抑制しても下顔面高を長くする上顎骨の垂直方向の成長と大臼歯の挺出があれば効果がずっと下がることになります。ですから、下顎下縁平面角の大きな症例、ハイアングルケースに於いて最も有効と判断できます。

 

教科書と実際は違うものです。


日本人の混合歯列期上顎前突に於いてはハイアングルケースであろうとなかろうと、上顎の過成長があっても、上顎の過成長を抑制できても結果的にほとんどが抜歯になります。その理由は、日本人の場合、歯列不正においては叢生を伴いディスクレパンシーが大きくなるからです。ならば、ヘッドギアを使用しなくても機能的な装置を使って下顎の劣成長を避け、下顎の成長を促進した方がよいのです。つまり、上顎の過成長を抑制することよりも治療結果において重要な評価ポイントである、良好な横顔を作るために、下顎の劣成長を防ぐことが大切です。

 

ところが、問題があります。日本人に多いのは,NB
to Pog
がマイナスの場合です,Retorognathicな症例です。遺伝的にRetrognathicな症例がどこまで下顎を成長促進できるか?といった問題があります。私は混合歯列期後期からの治療を結構経験しています。その治療結果を踏まえて断言します。実際は期待したほど成長しない場合の方がはるかに多いのです。。


ヘッドギアも、機能的装置も患者に努力を強いる治療法です。患者がさぼる忘れる等非協力的な使用法をするなら結果はやらないのと同じです。そして残念なことに現代では努力を強いる矯正は患者がさぼります。


 良い方法があります


そこで、思春期前の上顎前突の患者が来たらどうするか?これは私の師匠に教えて頂いた方法です。

12歳まで待ってもらい

12歳頃に上顎の装置だけを付けてスピーカーブ付きのワイヤーをいれて犬歯間幅径を広げ咬合挙上して、数か月経過を観ます。上顎歯列の狭窄で下顎の劣成長を起こしていたなら、下顎が前進します。下顎の劣成長を防止できます。機能的な装置と同じ効果があります。ですがRetrognathicな症例でしたら、下顎が前方成長しない場合も実に多いです。成長を促すといっても期待したほど成長しない場合も多いのです。その場合ほとんどが抜歯して矯正することになります。


上記の方法は極めて実践的な治療法です。患者に努力を強いず、無駄に長い期間を費やすこともないので、良好な患者管理と、診療室に於いて歯列矯正治療のスムーズなマネッジメントを実現するものです。患者も術者も嫌な思いをしないで済みます。


あとがき


78歳から歯列矯正を開始する歯科医がいますが、現代では患者に努力を強いる装置は受け入れられません。機能的装置を使用しようがヘッドギアを使用しようが結構さぼります。その上治療期間が長くなります。患者も歯科医もお互い不愉快な思いをする筈です。


参考文献 プロフィトの新版現代歯科矯正学 プロフィト著 クインテッセンス出版


     混合歯列期の矯正治療 マクナマラ著 クインテッセンス出版

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