サイナスリフトの難症例、骨が少なくてもインプラントできます。
上顎臼歯部のインプラント手術に於いて垂直的骨量が不足する場合サイナスリフトを併用し骨量を増加させインプラントを植立する場合があります。
ところで、このサイナスリフトの中には難しいものがあります。インプラント埋入予定部位の上顎洞内の形が滑らかではなく凸凹が激しい場合が難しい場合、上顎洞の粘膜の剥離が難しくなります。上の画像は左上6番相当部のCT画像です。縦切りの断面です。向かって右が口蓋側で、向かって左が頬側です。上顎道内が凸凹しているのが判ります。この部分の上顎洞粘膜をどのように剥離するか、手術日前夜まで悩みました。
下の写真は術中の写真です。上顎洞底粘膜の剥離を終え、歯槽頂にドリリングを開始する直前の写真です。
窓を2つ開けて対応しました。5番相当部から開窓して、開窓部の近遠粘膜を剝離したのち6番相当部を開窓しました。一つの大きな開窓部で対応するのは人口骨を充填した後、経時的に溢出の危険が増すので、2つの窓で対応しました。
2つの開窓部を儲けることで2方向から上顎洞粘膜を剥離できるので、上顎洞底が複雑な形をしていても剥離ができました。上顎洞粘膜の剥離は粘膜が肥厚していたからなのか穿孔なく行えました。
術後のデンタルx線写真です。
上顎洞底の形状が粘膜の理想的剥離が困難と判定される場合、無理に剝離をせず、妥協的な剥離、つまり安全に、粘膜を穿孔させずに剥離できる最小限度の剥離で済ます方法もあります。今回はその方法を取りましたが人工骨の填入状態を術後のデンタルx線写真で確認したところ十分剥離されていました。これは粘膜剥離のインスツルメントでも予想以上に剥離できたことと人工骨を填入することでさらに剥離が起きたからだと思われます。
この症例は歯槽頂からのアプローチでも剥離ができたと思います。横からアプローチして無理と判断されたら歯槽頂からもアプローチする、コンビネーションで攻略するといった方法もあったともいます。今回は歯槽頂からの粘膜剥離を追加するコンビネーションもありうると想定の上で手術に臨みました。
上は術後のパノラマx線写真です。写真は向かって右が患者さんの左になります。
反対側の上顎もサイナスリフト併用でインプラントを3本埋入しています。
費用は1本275,000円(税込み)、サイナスリフトは左右各それぞれ110,000円(税込み)になります。左の開窓部2つのサイナスリフトも開窓部一つのサイナスリフトとも同じく110,000円となります。
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