部分矯正が必要なインプラント
インプラントを埋入するにあたり、埋入予定部位の近遠心(隣)の歯が傾斜していいると、その歯を動かす必要があるというお話です。
上は初診時のパノラマx線写真です。右下6番(向かって左奥から3番目の歯)の歯根周辺に透過像が確認できます。x線写真と歯周精密検査から歯内歯周病変であると診断されました。歯内歯周病変とは根分岐部病変と根尖病巣が繋がった病態です。歯内歯周病変は治せません。治療法はこの患者さんの場合抜歯になりますが、患者さんは痛い,腫れるといった症状がありませんでした。
1年後問題の右下6番が動揺するので診てくれ、と来院しました。
上は右下6番抜歯後のパノラマx線写真です。患者への説明の為に撮影しました。患者さんは抜歯後の欠損に対しインプラント治療を希望していました。が、右下5番が近心傾斜して歯根が6番相当部へ進出しているので、インプラント埋入の際右下5番の根尖に触れる危険があります。その説明のための撮影でした。
上のパノラマx線写真は右下5番を起こしているところです。右下2~5番にブラケットを装着し、右下2,3,4の舌側をbond-A-Splintで固定し、部分矯正を開始して3か月経過したところです。抜歯した部分に骨が形成しているのが判ります。
上のパノラマx線写真は右下6番抜歯後7か月経過したところです。骨の形成はこれが限界なのかx線透過像に変化がありませんが、抜歯後十分時間が経過したのでプラント埋入手術に踏み切りました。インプラント手術時に歯茎を開いて確認したところ、予想通り術野は骨の形成が不十分でインプラント埋入は延期にしました。延期するにあたり埋入予定部位に人工骨を移植して切開線を縫合しました。
上の写真は人口骨移植後3か月経過してインプラント埋入手術を行った後に撮影したものです。
白い粒は骨に置換されていない人口骨(β-TCP)です。更に時間が経つと骨に置換されます。
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