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特殊症例に対する対処法 矯正 能代市 北秋田市 大館市

特殊症例に対する対処法


15年ほど前に。当院の矯正症例が他院の症例と違うと気付きました。その頃の当院の矯正患者は下顎前突(受け口)の患者と叢生の患者でほとんどでした。叢生の患者も下顎前突傾向のある患者でした。上顎前突並びに王顎前突傾向の患者がほとんどいませんでした。

ところがこの5年程で上顎前突が増えています。上顎前突が増えたと言っても下顎前突は半分近くいます。

矯正の臨床経験が浅いころから学会の口演を見てなんか当院と違うと感じていましたが、わからずじまいでした。それが2年程してそのもやもやが晴れました。

叢生を主訴に来院する患者の叢生が極めて激しいことです。上下顎ともに著しい叢生です。そしてこの叢生患者の共通点が以下の3つです。


  1. ①下顎前突傾向である。

  2. ②歯牙が標準より大きな場合が多い

  3. ③歯牙の形態が標準より大きく外れている。


  1. ①はこの地方の特徴です。下顎前突の多い理由の一つとして遺伝が挙げられますがもう一つとしてこの地方の方言の発音です。サ行タ行の発音時に舌が口腔底に下がったまま発音する方が多いのです。このようにしないと出ない発音があるみたいです。舌の位置が下顎の発育を促進していると推測しています。舌が機能的矯正装置の働きをしているのです。

 

  1. ②番は当然ですよね,arch length discrepancyが大きいから歯が並びきらない、しかもdiscrepancyの数値が10mmより大きな症例がざらにあるのです。ですから叢生が激しい訳ですよね。


問題は③です。SWAはあくまで平均値に合わせて作ったもですから標準の歯牙形態、標準の歯牙の大きさで作っていますから、標準から外れるとそれなりの対処が必要になります。

これに対する対処法は、装置の選択とワイヤーの選択ワイヤーのベンドで対応することになります。下顎大臼歯の頬側面はかなり個人差が多く、販売されている6番のチューブの種類の多さから、多くの方が症例によって6番のチューブは使い分けていると思われます。


また、ワイヤーとスロットの間の遊びを利用して標準から外れた分の誤差を吸収させるという考えからすればフィニッシングワイヤーを細めの物を使用するというのは適切な選択といえます。

 

 

SWAでもう一つ問題になるのがアーチフォームです。OPA-Kではあくまで標準を基準にしています。私の場合はRothのアーチフォームを使っていますから、このアーチがオーバーコレクションが入っていることを前提で使っています。ですから必要があれば曲げます。


  1. ①の場合上下7番の咬合が問題になりかねません。つまり理想的(Angle1級)な咬合を作ろうとすれば上顎7の頬側根が歯槽突起からはみ出す合があり得るということです。下顎7番の舌側が歯槽突起からはみ出すか歯根吸収しかねない、ということです。 歯槽突起の基底部の形は上顎は左右7番相当部の幅径が。6番相当部の幅径より狭くなります。一方下顎はこの逆で7番相当部が6番相当部より広くなります。

    局所的に見ても上記のような不調和があります。ワイヤーの全体像を比較すると下顎前突ですと上の歯列弓が小さくなり、下が大きくなります。

    それだけではなく歯列弓はUに似た形ではありますが、上顎はOに近く下顎はVに近い形をしています。

    ですから、下顎前突では,SWAのアーチフォーム、アーチの大きさでは無理な場合があり得ます。ですから何とか折り合い付けるためにアーチフォーム替える必要のある場合があり得ます。


  2. 特に、拡大床を使う場合は6,7が頬側からはみ出さないように注意が必要になります。

 

Andrewsは『外科的矯正治療に寄らず最適咬合への治療可能な症例の90パーセントにストレートワイヤーアプライアンスの概念は通じる』と述べています。調べないと正確な数字は言えませんが、当てはまらない10%が能代ではもっと多いです。

 

参考文献『プレーンアーチ法』 著者小坂肇 医学情報社




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