激しいデコボコがある場合のインプラント治療(製作途中)能代市、北秋田市、秋田市、大館市
インプラントを希望しても、相談先の歯科医院からインプラントできない、と言われる患者さんがいます。できない理由を以下に4つ挙げます。ほとんどがこの4つの内のどれかの理由でできないと言われます。
①骨が少なすぎる(歯科医師に骨造成の技術が無い場合)
②歯並びが悪すぎる
③重度糖尿病、癌
④そもそも患者の希望するインプラント療法に無理がある
今回は②歯並びが悪すぎる、に関して解説します。
歯並びが悪い場合のインプラント
インプラントを希望する患者さんの中には歯列矯正が必要となる方がいます。
そのような方の口腔内は、インプラント予定部位の近心(前)の歯が倒れている場合が殆どです。その場合は、インプランントを大きく倒して埋入しなければいけません。倒して埋入する場合は単独のインプラントならば倒すのが許される角度は臼歯部に限って言えばせいぜい30度ぐらいです。30度以上倒した場合は危険と判断します(個人的な見解です。以下は個人的な見解です)。臼歯部に単独の45度以上傾斜埋入されたインプラント(従来から使用されているスクリュータイプ)は天然歯と同様に近心に骨縁下ポケットが生じます。つまりインプラント周囲炎になります。
今回は永久歯列が重度の叢生(デコボコ)の患者さんのインプラント治療に際し全顎的に歯列矯正が必要になった症例について解説します。
上は初診時のパノラマx線写真です。X線写真を見るだけでも叢生が激しく、虫歯の歯が多数存在ししかもそれらは殆ど保存不可能なことが分かります。
下のパノラマx線写真は保存不可能な歯を抜歯したのち撮影したものです。右上の6番は重度歯周病,他は重度の齲蝕が抜歯の理由です。
この症例の場合のインプラント治療計画
上のパノラマx線写真は抜歯が必要な歯を抜歯した後のものです。これを見ると右下5番が近心傾斜しすぎです。ですから右下6番にインプラントを埋入した場合、5番に接触しないように埋入する必要があるのでインプラントは傾斜させすぎとなります。そこで、倒れた右下5番を起こす必要があります。
(矯正のテクニックを持たない先生の場合右下5番を抜歯してそこにインプラントを入れるという方もいます。)
更に欠損歯が下顎左右4番が欠損であり、上顎右側5番、6番が欠損であることから上顎右側6番、下顎左右6番をインプラント補綴し、根幹治療してある左上5番を抜歯して歯列矯正をすることにしました。
全顎的な矯正をしつつのインプラント補綴を計画した理由は重度の叢生を放置することで残された歯牙の寿命が短くなると容易に想定されるからです。また重度の叢生をそのまま放置した場合インプラント補綴完了後に残された天然歯が確実に動きます。ですから歯列不正が悪化します。そうなることでインプラントは動きませんから上部構造の近心に必然的に空隙ができます。
さらに,先述の通り、歯列不正を治さずにインプラントを植立すると単独のインプラントを大きく傾斜させて埋入する必要があり、そのことがインプラント周囲炎を惹起しインプラントの寿命を縮めかねないからです。
抜歯の必要な歯を抜歯した後の正面観です。
抜歯の必要な歯を抜歯した後の左側面です。
同じく右側面です。
同じく咬合面です。
同じく下顎咬合面です。
上のパノラマX線写真は歯列矯正開始直前のものです。
右上6番左下6番にインプラントを埋入してあります。右上6番はサイナスリフトと同時のインプラント埋入でした。右下6番は暫間インプラントです。上顎は埋入から4か月、下顎は埋入から3か月の経過観察期間を設けた後2次手術となりました。その後、矯正を開始してすぐに、左上6番の口蓋側歯肉縁下にカリエスが見つかりました。確認したところそれが思いのほか大きく、抜歯が必要と診断されました。しかし、抜歯してインプラントを埋入するとなると、埋入から最低4か月以上待たないと上部構造が入りません。矯正が中断されます。
そこで左上6番はカリエスが進行し歯冠が自然脱落するのを待ちながら矯正を続行することにしました。自然脱落の後脱落部位にインプラント埋入を行うと治療計画に追加修正されました。
上のパノラマX線写真は矯正を開始しておよそ1か月めのものです。装置を付けて歯を動かしているところです。右下6番に2本植立した暫間インプラントのうち1本が脱落しました。パノラマX線写真が鮮明になったのはパノラマX線撮影装置が新しくデジタル方式になったからです。
近心に倒れた下顎左右5番を起こすまでまだ期間が必要となります。凸凹を除去して、咬合を浅くすると言った2ステップを経て後下顎右側の5番を起こします。起こした後に下顎右側6番のインプラントを埋入します。
この患者さんは60歳台の方です。他にも同じく60歳台、更に70歳台の方でインプラントを希望された方の中には歯列矯正が必要な方が当院へいらしてます。
・・・・続く
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